レポート|芳賀町 田野辺隆男
3月24日に、ネットワーク発足第1回の「ツドイ」を開催!
本当に楽しい会になりました。
教えあい学びあう知恵が多く、でも押し付けることもなく皆んなが素直な聞き手になって、「一緒に考える仲間がこんなにいるんだ!」と感じることができた楽しい会になりました。安心と共感に満ちたツドイでした。ご都合により参加できなかった方に申し訳ないぐらいいいツドイとなりました。
内容が豊富過ぎたので、全部をお伝えすることはできませんので、議事録というより感想メモの形でご報告します。
最初は環境デザイナーの廣瀬俊介さんの「環境と経済、そして未来」をテーマにした寄付講座。廣瀬さんご自身が詳しい内容をアップしてくれますので、私は私自身が印象に残った廣瀬さんの言葉を少しだけご紹介します。
たくさんの美しい画像を使っての講義でしたが、宮城県雄勝湾の全景を写した写真もとても綺麗でした。廣瀬さんはこうした日本の沿岸の湾を「栄養のスープ」のお椀にたとえます。湾に海水がたまって光っているシルエットが綺麗なだけではなく、その中には「ひとすじの流れ」があるといいます。湾には周囲の山から栄養が流れ込んで魚介類が育ちます。人間はその恵みをいただきます。命の循環があります。廣瀬さんはその「ひとすじの流れ」があることを環境デザイナーとしてみんなに伝えたいと願っています。「命のひとすじの流れ」をコンクリートやお金の論理で分断してはいけない。その流れの中に経済も組み込んでいく社会にしたいと、経済学者シューマッハーの考え方などにも触れながら講義してくれました。
また、廣瀬さんは自治体などから人工物と環境を調和させるデザインの依頼を受けてきましたが、「それでは食えない」とよく言われるそうです。でも廣瀬さんは言います。「では将来食えなくなりませんか?」と。
共感します。原発もそうですね。いま原発電力が必要だと言っても(それも嘘だと明らかになっていますが)、将来の世代に負の遺産を残します。将来が困ります。環境と経済を一体のものとして未来を考えなければなりません。
ぜひ廣瀬さんの文章をお読みください。「社会的共通資本」「中間技術」など為になる言葉がいっぱいです。廣瀬さんのオフィスの生垣に生きるカマキリの画像も可愛かったですよ。
廣瀬さんの講義スライドは、ブログ「東北風景ノート」で公開されています。 こちらでお読みください。 http://shunsukehirose.blogspot.jp/2018/03/the-environment-economy-and-future.html
講義の後は、みんなで小グループに分かれて、いま一人一人が心配していること、不安に思っていることを話し合いました。
まずは不安と心配を共有化して、そこからYESの未来を考えるためです。
ネットワークの呼びかけ人の一人、簑田理香さんの提案は、「未来につながるオセロマップを作っていきましょう!」です。
いまの社会は不安ばかり、理不尽なことばかり。オセロに例えれば、残念ながら黒いコマが全面を覆っているような状態です。でもまずはネガティブな課題をみんなで並べて、そしてその黒ネガティブを白いポジティブな未来に次々と変えていきましょう!という呼びかけです。
グループの話し合いの後で各代表に発表してもらいましたが、出るわ出るわ不安や課題が盛りだくさん。本当にイヤなことばかりの世の中です。
暮らしの経済的不安定、介護問題、将来の健康、環境汚染、食の安全、教育・いじめ問題、精神の荒廃、同調圧力、政治の劣化、過疎化、空き家問題、戦争の危険、進みすぎる技術に取り残される恐れ、なくならない男女差別、などなど。
みんな不安を抱えて生きています。みんなが「このままではいけない」と思っていることが再確認できました。解決への道はすぐには見つからないけれど、出てきたテーマについて今後みんなで勉強していこうと思います。
グループ発表の後はお食事。ネットワークの発起人の一人でもある倉本芙美さん祐樹さんご夫妻提供の体に優しいお弁当を食べながらのお話タイム。倉本さんご夫妻は宇都宮で2tree open houseを経営されていましたが、このほど市貝町で「わたね」と名付けたケータリング店を開きました。「わたね」とは「よく笑う」「よく食べる」「よく寝る」ことだそうです。いいですねー。お弁当の9つの品のどれも美味しかったですが、私は「豆富松風焼き」と「里芋黄身揚げ野蒜味噌」がとりわけ気に入りました。
そして、最後は参加者の自己紹介タイム。これがまた良かった。いろんな方がいらっしゃいました。
・無農薬の梨作りに挑まれている方。
・小麦アレルギーなのに、お年寄りも子供も集える店を故郷に作りたいとパン屋さんを始めた方。
・宇都宮市鶴田沼の自然を守る活動をされている方。
・宇都宮市でお母さんたちの居場所作りの活動をされている方。
・フリーのエンジニアで技術や道具のあり方を考え続けている方。この方はインドの綿を紡ぐ竹製の道具をリュックから取り出してビックリ。初めて見ました。
・震災で社会のあり方を考え始めたグラフィックデザイナー
・子育ての中で、子どもたちの未来が心配で勉強会を始めたママの方。
・自然食を広める活動に取り組まれている方。
・栃木県の在来種の保存活動をされている方。足尾には首の赤い大根が伝わっているそうです。「赤首大根」です。足尾以外では今の所赤くならないそうですが。
・24歳でガンにかかり、今は完治されていますが、それがきっかけで薬膳を学び、ご夫妻で農園を開きやさい料理の研究をされている方。
・元看護士さんのママの方。娘さんの出産の時に、今の医学のおかしさに気付かされたとのこと。
・「小さな学習塾をしています」とおっしゃる方。「先生お茶飲もう。僕らもストレスたまっているんだよ」という小学生の話し相手になっているそうです。
・市貝町で梅の里の梅パーティなどを企画されている地域おこし仕掛け人。
・竹と微生物を生かした農業をされていて、かつ昆虫のイラストを描いている方。
(この絵がいいんだなあ。これまた。)
・半農半陶生活&子育て全力投球の益子町のママ。
・ご夫妻で建築業を営みながら那須町で地域農産物の大日向マルシェを開いている方。
(このマルシェもオススメですよ!)
こう書いてくると、このネットワークには、「特別な活動家」が集まっているかのように思われるかもしれませんが、そうではありません。みなさん本当に「普通の人」たちです。普通に真っ当に生きたいと願っている人たちです。真っ当に生きようとすると「活動家」に見えてしまうのが悲しいですね。
参加者のみなさんどなたも、この生きづらい世の中で、自分やつながる人たちが、少しでも幸せになりたい、自分でできる範囲のことをやってみようと、とりあえず歩き始めてみた人たちです。繰り返しますが普通の人たちです。
参加者の中の、主婦で今は育休中で「学ぶこと」に頑張っていますとおっしゃった方の言葉も印象に残りました。
「仕事をしてきても、子育てをしても、どうも生きづらいと感じてきました。生きづらい理由がだんだんと分かってきました。その生きづらさをこうして皆んなでシェアするとワクワクします」
いいいですね。この言葉。生きづらさがワクワクに変わるなんて。
この未来YESネットワークの趣旨そのものです。
発起人の二人の言葉で報告を終わりにしたいと思います。
・松永レミさん「走ることはできないけど歩くことならできるよ」「みんなで種をまこうよ。ハツカダイコンなら二十日でできるよ。種が育つのを見つめようよ」
・惣田紗希さん「今日出会えてよかった。人間ってわかりあえないのが基本だと思うから分かり合えるって奇跡だと思う。この会から帰ったら周りの人の温度の低さに冷やされてしまうかもしれない。でも、この奇跡からパワーをもらえば、わかりあえないと思っていた人たちとも分かり合っていけるんじゃないか、そう思います。」
いい会でした。いいツドイでした。
今後とも楽しい会にしていきましょう。
発起人たちで相談して今後の催しをご提案します。
最後に、会場をご提供いただいた、ひと粒台所タノハナの塙智江さんに深く感謝申し上げます。素敵なお店です!ありがとうございました。
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